内科トップ内科ニュース
一覧へ戻る

primary vol.05 2014/01/13

Primary vol.05 _ 2
時間的な制約が治療中断の最も大きな要因と捉え、患
者さん一人ひとりの置かれた環境にも配慮しながら最
適かつ最良の糖尿病治療を選択していくことが私たち
医療者の役割ではないでしょうか」と猪本院長は語り
ます。
これからの地域医療向上のために
 今後の課題として猪本(康)副院長は、「高齢化が進
み患者さんの多くは様々な疾患を抱えていますが、私
たち眼科医は専門分野以外の疾患にあまり目を向けて
来なかったのではないかとの反省があります。県内で
は眼科医が減少しており、厳しい状況ではありますが、
他科の先生方とも積極的に交流して自分の専門以外の
領域についても学び、患者さんの背景も十分に理解し
ながら、眼科診療を行っていきたいと考えています」
と意欲を示します。
 最後に猪本院長は、「各科の医師が専門分野の垣根
を越えて互いに連携し、患者さんを総合的に診療する
という体制がこれからの地域医療で必要になっていく
でしょう。講演活動を増やすなど地域住民への啓発に
もさらに力を入れながら、地域医療の向上に貢献して
いきたいと考えています」と語ってくれました。
難しい現状があるそ
うです。「医師にとっ
てはベストと思われ
る治療法であって
も、経済的要因等で
治療の中断を余儀な
くされるケースもあ
るのです。経済的・
れていないことを示していると猪本(康)副院長は指摘
します。「特に働き盛りの患者さんの失明は、仕事や
家庭等の生活基盤が崩壊するリスクをはらんでいます。
最初に糖尿病と診断した内科医がコンダクターとなり、
早期に眼科医など他科が治療に介入して協力しながら
治療できるような地域連携体制を構築することが必要
です」
 猪本院長も同様の思いで、「網膜症を合併した糖尿
病患者さんでは、急速に血糖値を低下させると網膜症
が悪化することもあるので、治療前に合併症の評価を
きちんと行った上で治療方針を立てるようにしていま
す」と語ります。
地域における糖尿病診療と
連携構築への取り組み
 糖尿病患者さんの増加に対応するため、徳島県医師
会では、全国で幅広く使用されている日本糖尿病協会
の「糖尿病連携手帳」を有効に活用することで連携を円
滑に行うよう促しています。猪本院長は、手帳には血
糖値やHbA1c 値といった内科系の検査結果に加えて、
眼底検査や歯周病の所見を書くスペースも設けられて
いるため、内科医と眼科医、歯科医が互いに情報を共
有しながら糖尿病治療を進めることができると話します。
 また、質の高い糖尿病療養指導を行えるスタッフの
養成を目指し、徳島県では数年前より地域糖尿病療養
指導士(LCDE)の制度が始まりました。同院でも7 名
の看護師全員がLCDE の資格を有し、管理栄養士や事
務スタッフとともにチーム医療を実践しながら患者さ
んの療養生活を支えています。LCDE 取得により患者
指導の技能が向上したことに加え、患者さんからもス
タッフの対応が高く評価されるようになり、口コミで
新しい患者さんが訪れているそうです。
 さらに現在、県医師会の糖尿病対策班では、糖尿病
患者さんの治療中断をいかに防止するかということを
最重要テーマに議論しています。中断防止には患者教
育や住民への啓発活動が重要になりますが、患者さん
はそれぞれ病態や生活環境が異なり、画一的な対応が
体で唯一血管を直接観察できる)も併用し、動脈硬化
等の早期発見に役立てています。
眼科受診から糖尿病を早期発見
 同院では、目の不調を訴え眼科で検査したところ糖
尿病性網膜症を発症していると分かり、内科で糖尿病
治療を開始するケースも多いと言います。また、老眼
鏡を作る目的で検眼に来た患者さんに眼底検査をして
点状出血が見つかることもあれば、物が二重に見える
複視の症状を訴える患者さんに尿検査をしたところ糖
や蛋白が検出されることもあるなど、眼科受診が糖尿
病発見のきっかけになるケースも少なくありません。
「患者さんにとって、眼の症状は体重減少や喉の渇き
といった内科的症状よりも自覚しやすいので、すぐに
眼科を受診する人が多いのでしょう」と猪本(康)副院
長は推察しています。
 失明原因の全国1 位は緑内障ですが、徳島県は糖尿
病の罹患率が非常に高く、同県に限定すると糖尿病性
網膜症に起因するケースが1 位となっているほどです
(同県眼科医会調査)。このデータは、さらに、糖尿病
を診る内科医と眼科医との連携が必ずしも円滑に行わ
徳島県板野郡北島町/いのもと眼科内科CL O S E - U P
眼科と連携した診療体制が
生活習慣病治療に効果を発揮
 いのもと眼科内科は、副院長の猪本康代先生が
1995 年に眼科医院を開設した後、1998 年に院長の
猪本享司先生が内科を併設して現在に至ります。以前
は地域の基幹病院に勤務していたという猪本院長は血
液内科や消化器内科の専門医資格も有し、糖尿病だけ
でなく幅広い領域をカバーする医療施設として地域に
貢献しています。
 「糖尿病の合併症で命に関わるのは脳梗塞や心筋梗
塞等の動脈血栓症を併発するケースです。糖尿病に限
らず生活習慣病の患者さんは動脈硬化が起こりやすく、
動脈硬化が進行すると血栓症ができやすくなります。
私は長年にわたり血液学(血栓症学)も研究してきたの
で、血栓症の予防という視点から糖尿病治療と合併症
予防にアプローチしたいと考えました」と猪本院長は
話します。
 血栓症を予防するためには、動脈硬化の進行を抑制
する必要があり、同院では動脈硬化度の評価として、
頸動脈エコー検査や脈波図検査とともに眼底検査(人
院長 猪本 享司先生副院長 猪本 康代先生
日本糖尿病学会専門医である猪本享司先生が院長を務める、いのもと眼科内科。内科と眼科で密接な連携を取り
ながら、糖尿病治療や合併症の予防に力を注いでいます。診療科を併設して治療に当たる利点や地域における
糖尿病診療の現状について、院長の奥様で副院長である眼科医の猪本康代先生も交えてお話を伺いました。


一覧へ戻る
Copyright(c)2003 Inomoto